ごみ発電促進法成立

 昨年11月の環境基礎講座で飯田哲也さん(自然エネルギー促進法推進ネットワーク代表)に問題提起してもらった「ゴミ発電促進法」が先の国会で成立してしまいました。

 この法律は、正式名を「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」といい、本来、自然エネルギー促進のための法律であるべきものです。ところが、新エネルギーの定義を、風力、太陽光、地熱、水力、石油を熱源とする熱以外のエネルギーで政令で定めるものとしていて、「石油を熱源とする熱以外のエネルギーで政令で定めるもの」とは、11月の講座で飯田さんが指摘したとおり、廃プラスチックなどのゴミ焼却であることが国会質疑で明らかになっています。ゴミ発電と太陽光などを競争させれば、ゴミ発電ばかりが拡大してゴミ減量の努力にも水を差し、温暖化ガスも増えると懸念されているのです。批判のあるゴミ発電を法律そのものに書かずに政令で決めるとしていることも、十分な議論が尽くされなかった一因となっています。

 自然エネルギー促進法推進ネットワークは、ドイツなどで実績のある固定価格買い取り制を導入するよう一貫して主張してきました。しかし、法律は固定価格買い取り制ではなく、電力会社などに「自然エネ」発電枠を割当て、過不足分は電子口座で売買するという仕組みになっています。また、ここでも法律には具体的な仕組み等はまったく書かれず、政省令に委ねられています。「自然エネ」発電に伴って発行される証書の保有義務を課すRPSという制度が総合資源エネルギー調査会報告書で提言され、法案段階でも証書制度を導入すると説明されてきましたが、国会で成立した法案に証書制度は結局書かれませんでした。

 国会での議論が尽くされたとは到底言い難いと、飯田さんたちは批判していました。

 例えば衆議院では、野党4党共同提案の対案も提出されましたが、結局、政府原案どおり可決されてしまいました。趣旨説明・参考人招致・採決を除くと、わずか2回の委員会質疑しか行われませんでした。

 「新エネルギー等の範囲を政令で定めるに当たっては、廃棄物発電なかんずく廃プラスチック等の石油起源廃棄物を燃料とする産業廃棄物発電の取り扱いについて、抑制的観点にたち、関係大臣と充分協議の上、循環型社会形成の基本的原則に則り、マテリアルリサイクルの推進を阻害することのないよう、かつ地球温暖化の防止に資するよう、二酸化炭素の排出削減に充分配慮すること。本制度の下、廃棄物発電の導入への傾斜により、他の新エネルギー等の導入が停滞にならないよう努めること。」など5項目の附帯決議がつきましたが、付帯決議でお茶を濁さないで、法案の問題点はしっかり修正してもらいたいものです。施行時にごみ発電を政令でどう扱うか注目です。

(末田一秀)


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