グリーンコンシューマー記念講演(2002.3.9 奈良あやめ池)

吉村元男氏「エコハビタ 環境創造の都市づくり」に参加して

岩川 恵理

「環境創造の都市づくり…。」地球環境に負荷をかけず、それでいて住みやすい心地良い生活スタイルに、日頃から興味を持っていた私にとって、実に魅力的な講演題目だった。

まずは日常生活において、私たちが水というものをどのように見ているのか、という話から始まった。

西洋の水文化は『噴水』に象徴されているという。『噴水』はポンプを使って水をくみ上げる。つまり西洋では、引力という自然の摂理に逆らって流れるものを美しいと感じ、時には権力を示すものとされてきたそうだ。

一方、日本はというと、自然なありのままの水の流れを美しいとする文化のはずだった。が、現在私たちは水に対して無関心・不感性になってしまった…、と吉村氏はいう。「水の都・大阪」でありながら、宝であるその水を埋め立てて、新たに土地を創っているのだから。

そう、私たちは長年培ってきた水文化を、水の価値を失おうとしているのだ。水辺に高速道路、高層ビル群…、明らかに水の風景が消えてしまい、水文化とは言えない、他の何か違った風景に置き換わっている。水の都の次は、いったい何の都を目指すというのであろうか…。

もう一度、本来の自然の水脈をつくりあげ、水の循環をもっと目に見える形に戻そう。それが水の都・大阪における「環境創造の都市づくり」への課題であると実感した。

これからの未来に向けたまちづくりをイメージするのに、吉村氏が手がけた、大阪・北区にある『新梅田シティ』を訪れてみてはいかがだろう。

ここでは、人工物である都市(建築)が、水の循環や空中庭園などを通して、自然とうまく共存している環境創造都市の事例を見ることができる。そこで新しいまちづくりを構想してみると、きっといい案が生まれるはずだ。ビバ(万歳)!水都・大阪!!


吉村元男さんプロフィール

 鳥取県立鳥取環境大学環境デザイン学科教授

 環境事業計画研究所(京都市)を設立し、大阪大学講師、大阪万国博記念公園の設計で79年度日本造園学会賞、新梅田シティ、空中庭園設計、国際会議場庭園設計等担当。著書は「都市は野生でよみがえる」「都市に生きる方途」「エコハビダ」など多数。


 都市型遊園地が時代のニーズにあわず廃園が相次いでいる中、奈良あやめ池遊園地のリニューアルのコンセプトは「水、池」で再生を図ろうということでした。会員が企画に入りリニューアルオープン(3月10日)にこぎつけました。池を中心にした遊園地の特性を活かし、精華大学の山田国広教授の監修による学校の環境教育の実践の場としていま「池ものがたり」は大変好評をはくしています。



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