21世紀にふさわしいエネルギーとは

 11月の講座は、「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)代表の飯田哲也さんにお話頂きました。

 飯田さんは、石油ショックの頃からの「お上=原子力」と「民衆=そうでないエネルギー」の対立をヨーロッパが国民的議論で克服し、脱原発が潮流になってきた歴史から話を始めました。対立を克服すると、抵抗型の運動から提案型の運動が生まれ、自然エネルギーは大きく成長してきました。気候変動問題に対応するため経済成長を保ち、雇用も確保しながらエネルギー消費量を減らすという政策をいち早く1996年にデンマークは採用しているそうです。

 ようやく日本でも、国会議員の1/3を集める自然エネルギー議員連盟ができ、GEN等の働きかけで経済産業大臣が自然エネ法案を作ると発言するなどエネルギー政策を揺るがすところまできました。ところが、GEN等の提案は自然エネルギーの買い取りを義務化するものですが、経産省が考えているのは、自然エネの発電に伴って発行される証書の保有義務を課すとともに取引させるRPSという制度だそうです。この制度の法案は今年(2002年)の国会にも提案される予定ですが、自然エネルギーの定義に環境に問題のあるごみ発電を含んでいて、このままではごみ発電の促進法になると飯田さんは警鐘を鳴らしました。

 また、飯田さんは、経済産業大臣の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の委員としても政策転換を求めてきていますが、エネルギー政策決定の民主化がこれからの重要課題だと提起しました。意思決定の場に多様なチャンネルを作ることや「専門家(科学者)」と「政治家」「市民」の合意をさぐることがヨーロッパでは行われている一方、日本では官僚が自分達で政策を作り審議会は外部の意見を聞いた形を作るために利用されていると、自らの経験をもとに語ってくれました。

 自民党を中心に作成されたエネルギー政策基本法案が、講座の数日後の11月8日、国会に提出されました。この法案では、政府が作るエネルギー基本方針に準じた政策を自治体にとるよう求めており、まさに原子力を中心に据えた国策に地方が反乱することを許さない構造になっています。臨時国会では成立しませんでしたが、今後に注目し、反対の声を広げていくことが必要です。

(末田)



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