環境家計簿とは何か
環境家計簿が今、消費者の間でしずかなブームを起こしている。 1992年のリオデジャイネイロにおける地球サミットは、環境と開発の調和を唱える「持続可能な開発」が基調テーマとなった。 サミットの行動プログラム「アジェンダ21」に基づいて、国際標準化機構(ISO)は企業活動を主対象とする「ISO14000」という国際環境規格をつくった。持続可能な循環型社会実現のための手段の一つである。 京都精華大の山田國廣教授はISO14000を家庭用にアレンジして、現在最も普及しているタイプの環境家計簿を案出した。この使いやすく効果的な山田式の登場によって、環境家計簿をつける消費者は格段に増加した。 初心者向けのステップを考案 一般にまだ環境家計簿はなじみがうすい。効果のほども知られていない。 筆者は、山田式環境家計簿をいっそう簡素化することによって、初心者でもだれでも気軽につけられる環境家計簿を考案した。 実行しやすい電気、水道、ごみをテーマとする3種類の初歩的な環境家計簿をまず紹介し、それに習熟した上で、本格的な環境家計簿にもすんなり入れるようにした。 まず、やってみよう 環境家計簿は、暮らしのスリム化をはかることによって、省エネ省資源型ライフスタイルを身につけることが狙いである。しかし、節電、節水、ごみ減らしなどはそれぞれに削減方法や意義に違いがある。単なる削減技術を列挙するのではなく、その意義や私たちの心のあり方にも主眼をおいて書いた。 消費者が企業と並んでマーケットを主体的に動かし、とくにグリーンマーケットが消費者主導で我が国に実現する日が待たれる。経済大国日本でありながら、わが国の消費者はあまりに弱くあまりに後進的である。その弱点から脱し、自律的に行動できる消費者になるための一つの手段としての環境家計簿でもある。その効用は、つけてみて初めてそれぞれ自分流に実感できるだろう。 まずやってみなければ、何も変わらない。
9月30日発刊 藤原書店 ¥1800+消費税 |