私たちの食生活は危険がいっぱい (コーデックス委員会より特別報告)
ここまできている遺伝子組み替え食品の現状



今年 (2001年)3月23日から30日まで,千葉県幕張で「コーデックス委員会」の「バイオテクノロジー応用食品特別部会」の第2回会合がもたれました。スウェーデン政府代表団として参加されたスウェーデン消費者連合のマーティン・フリッドさんと妻のアキコさんに4月2日、報告をしていただきました。

コーデックス委員会とは…
1962年に世界保健機構 (WHO) と国連食糧農業機構 (FAO)は、食品貿易が盛んになってくる中、食品に関する国際規格をつくる必要があると合同で食品規格を検討する委員会を設置、それがコーデックス委員会です。正式にはWTO/FAO合同国際食品規格委員会といいます。これまで、農薬の食品への残留基準や食品添加物などの規格を定めてきました。この委員会での議論は、世界貿易機構(WTO) に連携されており、WTOでの遺伝子組み替え食品の貿易の進め方にも大きな影響を及ぼします。

今年2月下旬、アレルギーを引き起こす原因となる遺伝子組み替えトウモロコシ「スターリンク」はアメリカでは食品としては認めていないものが、市販の飼料や食品から次々に検出され問題になっています。この委員会での議論は、リスクと安全性評価で、輸入国と輸出国との対立する論点は先送りになりました。この委員会の問題点は、この会議が4年間で終了する特別委員会であること、今回委員会には165カ国の政府代表とオブザーバーとして192団体が参加していたが、消費者団体が2〜3のみで、ほとんどが食品産業の代表で、消費者の声が反映されていないことです。

予防原則をとり消費者の意思を尊重しようとするEU (ヨーロッパ連合)と遺伝子組み換え食品を拡げようとするアメリカとの争点は3つあります。

争点1) 伝統的対象物 (コンベンショナル・カウンタパート)
  • 今の安全基準は、伝統的に食べてきた非組替え体と組替え体との比較方法を、アメリカはすでに組替えて安全性が確認されているものと新たな組替え体の比較で十分と主張。輸入国は全ての情報が入らないとしアメリカに反対。

争点2) 追跡可能性 (トレーサ・ビリティー) フォローのシステム
  • 種⇒収穫⇒食品製造⇒流通を明確にすること。アメリカは反対を表明。

争点3) マーカージン (組替えが成功したか否かを検証する遺伝子の組込み) について
  • 研究エリアのもので、実用すべきものではない。

抗生物質耐性菌の入った物を食べることへの影響が懸念されるが、「現在病院などで医療用に使っている抗生物質耐性菌は使わない」にとどまったが、現実には動物飼料用等問題が大きいことが懸念されます。

遺伝子組替え稲はここまで来ている

日本人の主食である米、すでに「遺伝子組み換えイネ」の開発がすすみ30種となっています。この種類はF1種といって、一代雑種=種籾からは次はできないものであること、最近では、ターミネーター種といって、種をとって次に撒いても二世代目を育苗すると自分で枯れる=自滅型にコントロールされていると言うつわものがでて、自家採取した種が使えないという農家の存亡にかかわる事態となりつつあります。

タイでは、Bt菌入りの綿栽培をした際、胞子が飛んで非組替え畑に混入した事例報告が上がっている。このままでは5年でイネの在来種は絶滅すると言われるぐらいに、遺伝子組替え作物が、非組換え作物畑に侵略し、種の存続が危ぶまれる事態になると警告を発しています。これ以上、生命維持の源である「種」を営利目的の企業に独占させていいのか・・・・!

無知ではいられない

 この会として、NPO法人認証取得記念として、3月10日に食政策センター「ビジョン」主宰の安田節子をお招きして、「グローバリゼーションと遺伝子組み換え食品」の記念講演をし、知らない間に忍び寄る遺伝子組み換え食品の状況を学んだところです。そして、今回はスウェーデンの消費者保護の立場から、フリッド夫妻から日本人への警鐘でした。無知ではだめ。積極的に知ること。将来のために不安なことはNO!の意思表示と行動をとること。当り前のことができていなかった自分自身を恥じたところです。

(文責:山口)



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